こんにちは、未来防災課のさいとうです。
災害が起きると「り災(罹災)証明」という言葉を耳にすることが増えます。
り災証明は、建物などが被災したことを証明するものですが、証明してもらうと何に利用できるかご存知ですか?
あいまいなまま「とりあえずり災証明が必要だー!」 って思っていませんか??
特に、保険会社への保険金請求については、多くの人が誤解をしているようなのでまとめてみます。
▼目次
1.保険金請求にり災証明は不要!?
台風などで建物に被害を受けた場合、火災保険会社に保険金の請求ができます。その請求のため、り災証明が必要! は全くの間違いです。
念の為、日本の大手保険会社に片っ端から聞いてみました。
【り災証明が不要な保険会社】
台風などで建物に被害を受けた場合、火災保険会社に保険金の請求ができます。その請求のため、り災証明が必要! は全くの間違いです。
念の為、日本の大手保険会社に片っ端から聞いてみました。
【り災証明が不要な保険会社】
- 東京海上日動火災保険
- 三井住友海上火災保険
- 損保ジャパン日本興亜
- あいおいニッセイ同和損害保険
- 日新火災海上保険
- 楽天損保
- AIG損害保険
こんな感じで、必要とする保険会社なんてないと思ってほぼ間違いありません。
では反対に必要な物は何かと言うと、
- 損害箇所が確認できる写真
- 修理の見積もり
以上です。
り災証明、何のために取得するのでしょうか?
2.り災証明より火災保険を優先しよう!
り災証明は住宅の損壊程度を全壊・大規模半壊・半壊の3段階で認定します。
被害の度合いによって、被災者生活支援金が支払われます。
- 全壊:100万円
- 大規模半壊:50万円
- 半壊:0円
- 半壊に至らない(一部損壊):0円
全壊でも生活支援金は100万円しか貰えません。
そのほかには加算支援金という、新たに住居を建設する、もしくは購入する。家を補修する場合などに支給される支援金もあります。
2019年の台風15号の場合の対応について、内閣府のページのPDFを参考にして下さい→(内閣府防災情報のページ)
では、火災保険はどうか。
火災保険は、お客様が選んだ工務店などの修理業者の見積書を基に保険金が支払われます。その見積もり通りの保険金が支払われれば、家は元通り。全壊と判断されれば、設定した補償額の全額を支払ってもらえます。
り災証明をもらうのに躍起になるくらいなら、すぐさま工務店さんに連絡し、修理の見積もりを作ってもらうことを優先した方が生活再建には早いのです。
いよいよ、り災証明、何のために取得するのでしょうか?
3.り災証明が必要になるケースとは?
実は、り災証明が必要になるケースもあります。
それは「保険」では無く「共済」に加入しているケース。保険と共済は似てはいますが、実は結構違います。
共済金の請求にり災証明が必要か、確認をしてみました。
【罹災証明が必要な共済】
- JA共済(農協)
- 都道府県民共済グループ(都民共済・県民共済など)
【罹災証明が不要な共済】
- 火災共済共同組合
都道府県民共済グループは、一部損壊は不要。全壊、大規模半壊は必要とのことです。(つまり、り災証明が必要になるかどうかは、り災証明の判定が出るまでわからないということ)
り災証明が発行されるまでは共済金は請求ができないので、支払いまでに数か月の時間が必要になるかもしれません。
4.まとめ
り災証明のことを調べるのに、まずは自治体に「り災証明って何に使えるですか?」問い合わせをしました。
職員さんは開口一番
「民間の保険会社にり災証明書の提出を求められる可能性があります」と。
読んで頂いたみなさんはもうお判りだと思いますが、この自治体の職員さんの説明は正しくはありません。「保険」と「共済」の違いを理解していない可能性が高そうですよね。
そもそも「求められる可能性があります」という、絶対に間違いのない表現なので必要かどうかはさっぱり分かりません。
そのせいで、多くの人がり災証明の申請に殺到し、住民も自治体職員自身も不利益を被っています。
自然災害で被災をしたら、
- 保険=罹災証明は不要
- 共済=罹災証明が必要(もしくは共済に問い合わせ)
とザックリ覚えておけば、時間をムダに浪費しなくて済みそうです。
ただ、り災証明をもらうことで税の減免などが受けられる可能はあるので、修繕をする前に損害写真を残し、り災証明の申請はした方がいいでしょう。
写真の撮り方については、ウェザーニュースさんのサイトに記載がありましたので、参考にして下さい→(ウェザーニュース:台風で被災した場合 片付け前に「り災証明書」申請のための写真撮影を)