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2025.01.16 【能登半島豪雨被害】政府や行政からボランティアへの過剰な期待を感じた豪雨被害

地震で負った傷も癒えぬ間に、能登半島を大雨が襲いました。奥能登地域を中心に河川の氾濫や土砂災害が多数発生し、15名が亡くなりました。

住家の被害は、全壊した41棟を含め、全1,567棟。

その被害が発生する1日前まで金沢にいて、2日前にはボランティア活動していた未来防災課としては、行くべきはこれからだったんじゃないか??といった、やりきれない想いを抱くことに、、、

そんなところに、ボランティア活動に参加させていただいた団体、四番隊のよんさんから「週末に石川に行くので、一緒にドライブしません?」と軽いノリのお誘いをいただき、1泊2日で石川を再訪しました。

9月28日、夕方前に不動前駅の近くで待ち合わせて、目的地は金沢。

400km超えるのね。。。とおっ。

どうして今回は車なのか? というと、四番隊さんが購入した資機材を運ぶため。それと、奥能登のエリアを周って、被害状況を確認することが我々の目的。車の荷室には、明日の朝、拠点に届ける資機材が山積みされてました。

さっそく高速に乗ると、ボランティアの場合には高速代が無料になることを知りました。事前に高速を利用する区間を決めて申請して、高速の窓口に書類を提出して通過する。そんなシステムです。区間外では乗ることも降りることもできないそうです。ボランティア団体だと、そういった優遇があるんですね。新しい発見。

高速は渋滞もなくスムーズに進み、21時ころに到着。

四番隊の今日活動していたメンバーと合流してその日はワイワイやりました。

で、この日も宿泊はホテル金沢。6:30に朝食会場で待ち合わせして就寝。


土砂災害の発生エリアまとめ

翌朝、みんなでビュッフェをいただき、7:30に出発。

七尾市のボランティアセンターで資機材を下ろした後は、他のエリアで活動しているボランティア団体さんを訪ねて周り、情報収集。まずは珠洲市に向かいました。

穴水町を越えて、能登町中斉あたりから土砂災害が起きていました。

能登町 中斉
珠洲市 宝立町
珠洲市 上戸町
珠洲市 飯田町
珠洲市 若山町
珠洲市 大谷町
珠洲市 馬緤町
珠洲市 馬緤町
珠洲市 長橋町

大きな地震があった後の土砂災害だからか、かなりの広範囲で土砂災害が発生しているように感じました。とは言え、助手席に座っていただけなので、この時はドコを走っているのか全く分かっていませんでした。

帰ってから写真データをもとにマップに落とし込むと・・・

丸い印を付けた場所は、先程載せた写真の場所です。こんなに広範囲で災害が発生していたようです。改めて、今回の土砂災害がこれほどまでに甚大な被害をもたらしていたことに驚きました。

現場の後方支援がマンパワー??

ボランティアの活動拠点というのは市町村ごとにあって、それぞれボランティア団体が割り当てられているみたいです。

今回よんさんは、さまざまな場所を周りながら、その地域ごとに活動している団体さんに顔を出して、「今、何か足りない物ある?」「どんなことに困ってる?」という話を聞いていました。

蓄電池が豪雨にやられてしまって数が足りないと言われれば、Jackeryの営業さんに連絡して、手配できないか交渉してました。自分の団体が上手く行くかどうか? ではなく、地域で活動するさまざまなボランティア団体とコミュニケーション取りながら、支援の質が高くなるように調整しているようでした。

後日、蓄電池を届けた時の写真

こういった、後方支援的な動きを自治体やボランティアセンターが行うと、きっと時間がかかるんだろうなと思います。企業から直接支援を受けられる体制作りが大切であることを理解するのと同時に、マンパワーに頼らず、これを仕組化した方が良くない? とも思いました。

ボランティア団体の悩み

「最近、モチベーション落ちてるんすよ」

奥能登を周りながら、よんさんがそんなことを口にしました。話を聞くと、そうなる理由の1つに、政府や県からのボランティアの扱いにあるそうです。

豪雨被害の後、石川県では毎日のように災害対策本部会議が開かれており、その議事録が関係しているボランティア団体には送られてくるようなのですが、あまりにもボランティア頼みすぎるそうなんです。

その議事録を読むと「ボランティアが不可欠」「ボランティアの増員を検討」「ボランティア団体に委託」などという文字が並んでいます。

「ボランティアって、あくまでもボランティアなんすよ」

確かにその通りで、あくまでもボランティア。仕事ではない。それなのに、さも当然のようにボランティア団体に委託しよう! なんて会議で話している。

「これで俺らがケガしたら、誰が補償してくれるのさ」

補償があるとすれば、ボランティア自ら加入するボランティア保険の補償くらいのはずです。

この状況、悪く捉えれば、人の善意に丸投げ状態。ボランティアがまるで行政の一部のように扱われているのです。

加藤浩次さんに言わせれば、

「この状況、当たり前じゃねーからな!!」

じゃなかろーかと。

その日に会わせていただいた人の中には、本当に自分の生活を切り詰めてボランティアを続けている団体の代表者さんもいらっしゃいました。よんさんは、そういう人がいることを知っているからこそ、当たり前のようにボランティアの支援を要請してくる行政に対して怒りを感じているようでした。

参議院予算委員会でも同じような議論が・・・

2024年12月16日の参議院予算委員会でも同じような話がありました。

(1:02:50~)山本太郎議員が能登の宅内土砂の撤去に自衛隊派遣を検討して欲しい。という主張に対して、(1:39:25~)国務大臣の坂井氏は、「自衛隊に確認したところ、自衛隊が出動する3要件にはあたらないと回答があった」「宅内土砂を撤去する実務者チームで相談した結果、ボランティアの皆さまに広くお願いすると同時に建設業者の皆さまにも支援をお願いをする」といった趣旨の答弁をしています。

自衛隊を派遣するには「緊急性、公共性、非代替性」の3要件を満たす必要があるという決まりです。

つまりこの答弁は、ボランティアや建設業者が協力してくれるので、3要件の1つである非代替性は満たさないということだと思います。公費解体でも、行政が建設業者をうまく手配できなくて遅れに遅れていましたが、本当にうまく手配できるのでしょうか?

政府の答弁にありましたが、石川県知事は住家からの泥の撤去を主にボランティアに依頼をしています。繰り返しになりますが、ボランティアはあくまでもボランティアです。国の機関でも何でも無く、ボランティアには補償も給与もないのに、政府までもが当然のようにボランティアが作業してくれると思っているのは何故なのでしょう?

本来、国はボランティアに頼らなくてもよい仕組みを構築すべきなのではないでしょうか? ボランティア活動を前提とするのではなく、ボランティアの支援があったらラッキー、そう考えなければ、とても政策だなんて言えないと思います。

地震から1年以上が経った今も、能登半島では水が出ないエリアが存在しています。ホントに酷い話だと思うのですが、政府や県の政策について、皆さんどう思いますか?

石川を訪れた数日間のまとめ

よんさんと能登半島をぐるっと周り、最後に先週訪れた輪島市にも連れて行ってもらいました。その動画は未来防災課のインスタに載せたので良ければ見てみてください。(https://www.instagram.com/reel/DEmRuGuynT2/?igsh=enV5ZXp2YW0wNjJq

輪島市の姿は1週間前とはガラリと変わって、町に川から溢れた水が流れ込んだことは一目瞭然でした。先日立ち寄ったファミマにも行きましたが、やはりまだ休業中。無関係なのに悔しいし、悲しい。

たった数日間でしたが、現場で作業したり、現地の声を聴いたり、現在の状況を見たりしたことで、思いの外、日本の防災の問題点が見えてきました。お陰で国会の予算委員会の動画も見るまでになりましたよ。

予算委員会の動画を見て感じたのは、"国会で決めたことが現場では想像以上に活かされてない"ということでしょうか。ひろつぐさんやよんさんが現場で話してくれた内容は、現地の特にひどい話を抽出したものなどではなく、今、まさに政府や県が抱えている問題点そのものだったことが大きな驚きでした。この対応の遅さは何なんだろう。

国会なので答弁の時間が決まっているのは当然ですが、石川の問題を少しでも解決しようとする姿勢で答弁をすれば、もっと様々なことが進むように感じました。時間がきたら散会し、笑顔で会場を後にする国会議員たち。能登の皆さんは怒って良いんじゃないでしょうか。

防災は、自助・共助・公助と言いますが、今の状況だと、公助をあてにするときっとバカをみます。この国の支援は始まる前から終わってます。キッズリターンの逆。いや、ひょっとすると“まだ始まっちゃいねぇよ”ということでしょうか? だとすると、いつになったら始めてくれるのでしょうか。政治屋を選んだこちら側の責任でしょうか?

※未来防災課は特定の政党の支持はしておりません。だた、石川県で見たもの、聞いたこと、感じたことから1つの意見を述べているだけですので、悪しからず。

復興支援についての余談

七尾市から珠洲市に向かう道中、穴水町の穴水大宮は今も鳥居が無残な状態でした。

突然、この景色が目の前に飛び込んできたので、かなりの衝撃を受けました。帰ってから調べてみると、当時は知りませんでしたが、再建のクラウドファンディングがあったようです。(CAMPFIRE:穴水大宮を再建し、笑顔あふれる初詣の風景を取り戻したい!

被災者全員を支援する方法である義援金と異なり、ここを支援したい! をいう想いをピンポイントで届けられるクラウドファンディングという支援の手段があるというのはとても良いですよね。

とは言え、被災して大変な時に、クラウドファンディングで資金を集めよう! という方法に行きつける人ってどれくらいいるんだろう? と感じてしまいました。やってみよう! と思っても、きっと、多くの人が初の試み。その中で突き進んでいくというのは、これまたとても大変なことだと思います。

クラウドファンディングのサイトもいくつもありますから、どのサイトを選ぶべきなのか? どんなリターンを提示したら良いのか? そして、どのようにアピールすればいいのか? そういったことを相談できる先はあるのでしょうか?

現地でのボランティア作業は社会福祉協議会などがマッチングしてくれます。支援の方法が多様化しているのであれば、クラウドファンディングの運用の支援だってできるはずです。そのような多様化するニーズをどうやって拾い上げ、マッチングするのか? 興味が出てきました。


今回、未来防災課が活動に入らせてもらった災害支援団体『四番隊』さんの支援が気になる方は、以下をチェックしてみてください。

2025年、四番隊さんは変わらずに石川県に支援に入っています。ちょっと観光がてらボランティアしてみようかなぁ・・・みたいな奇特な方がいらしたら是非!

斎藤啓之

執筆者:斎藤啓之

1980年生まれ
両親の出逢いはテニスコート。男3人兄弟の長男で、3世代で暮らし、友だちから「サザエさんのウチみたい」だと言われるような家庭で育つ。
料理は全く出来ないが調理師免許を持っており、味噌が変わると判る味覚をもつ。
剣道の有段者なので、棒で人を叩くと逮捕される。
趣味は、高3の秋から始めた野球。甲子園を目指したことの無い野球人。
ほとんどの人にA型?と聞かれるO型。

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