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2024.08.29 ボランティア団体と良い関係をつくるには?|取手市双葉の自治会長と四番隊はどうして良い関係を構築したのか!?

ミライボのさいとうです。

2023年6月2日から3日にかけて、台風2号と梅雨前線の豪雨によって、多くのお宅に浸水被害が出た茨城県取手市双葉。

被害に遭った双葉の自治会町である中尾さんと、災害支援に入った支援団体『四番隊』代表のよんさんとのインタビュー記事の後編です。

前編はコチラ→「水害からの復興|茨城県取手市双葉の自治会長に教えてもらった災害対応のリアル」


お話しを伺っていて感じるのは、中尾会長とよんさんの良い関係。単純に支援を受けた側と支援をした側というだけにはとても思えません。

これから先、もしもまた取手市双葉に災害があったら、四番隊は真っ先に駆け付けるだろうなと思える関係。

ボクも町会の役員として地元に関わっているので、決まった支援団体と親密になれている双葉自治会を羨ましく思いました。

では、どうやってそのような関係を造り上げたのでしょうか? ボランティア団体を味方につけるにはどうすれば良いのでしょうか?

何もわからないことが良かった

中尾会長とよんさん

中尾会長の話を伺っていると「何もわからなかった」という言葉が何度もありました。よんさんは、それが良かったといいます。果たしてどういう事でしょうか?

よんさん:たまたまなんだけど、ここは自治会の会長たちが新しくなって「はい、着任しました」のすぐ後に被災をしたわけさ。これからって人たちだから、何も分かんないところに被災して、そこにたまたま俺らが来たの。

でも、災害支援に入ろうとしても俺らを拒否する自治体とか全然あるわけ。「ちょっと良く分からないんですみません」とか「ウチのことはウチでやります」って。だけど、ここの人たちは、とにかく助けてくれるんだったら100%受け入れますっていうスタンスで来てくれたの。

中尾会長:もう受け入れるしか無いじゃないですか。いくつかの団体さんが支援に入って下さったんですが、例えば、その中でコモンズさんは、常総の水害を経験してるんですよ。ですから、水害においては市役所よりも良く知っていたので「じゃあ、もう全面的にお願いします」って言ったんです。住民のフォローの仕方とかも教えて下さったりしました。よんさん達、四番隊さんには家の建て直しとかをお任せして。とにかくお任せ、お任せで助けてもらいました。

よんさん:いや、全部投げてくれたから逆に助かる。下手に口出される方がね(笑)

被災した時に重要なのは「助けて」と言えること

「助けて下さい!!」

『世界の中心で愛を叫ぶ』に(なかなか古い)大声で助けを求める有名なシーンがありますが、実は、災害に遭った時も助けを求めることはとっても大事なんだそうです。そしてそれは、援助を受ける力と書いて「受援力」(ジュエンリョク)といいます。

この双葉の災害も、まずボランティアさんたちを繋ぎとめたのは自治会から「100%お任せします」という訴えからですが、そのような訴えは、市区町村やボランティアセンターに対しても必要だとよんさんはおっしゃいます。

よんさん:普通の人がボランティアに参加しようと思ったら、まずボランティアセンターに問い合わせようって思いがちなんだけど、社協がやってるボランティアセンターってすぐに閉じちゃうんだ。社協はホントはやりたくないの。どこもそう。(※社協は社会福祉協議会の略)

中尾会長:だから社協には「そんなにすぐ閉じちゃ困る」って言って、社協の人を1人自治会館に常駐してもらったんです。支援を四番隊さんに直接お願いすることもあったけど、なるべく社協を通して言わないとダメだって言われました。まだまだここは大変なんだってことが社協にはなかなか伝わらないって教えてもらったので、困っていることを伝えるように努力しました。

よんさん:そう。「ニーズがいっぱいあるから、まだまだボランティアが必要だ」って、社協に伝えるのって大事。そうじゃないと社協は支援のニーズが無くなったって思うから。自治会は、住民やボランティアのニーズを市や社協に伝えるパイプ役としてとても重要なんだよね。

確かに、ボランティアに行こうかな? と思い立っても、ボランティアセンターが無ければボランティアの募集は終了したのだと思ってしまいますよね。ボランティアセンターを長く開けていてもらうことが如何に大事かよくわかります。

ボランティア団体との関係構築のコツ

当時の作業のようす

ボランティアさんと良好な関係を構築した双葉自治会。多分、今後この町に何かがあった時、きっと四番隊さんは駆け付けてくれる。そんな関係を羨ましく思いました。絶対に自分の町を贔屓にしてくれるボランティア団体があった方がいいですよね。

どうしてそんな関係が作れたのでしょうか?

よんさん:俺らも人だから、どこでも、誰でもいいから助けるかじゃないからさ。誰と一緒にやるかの方が大事で、別に俺、困ってる人を助けたいっていうので来てるわけじゃない。新しい遊び場を探しに来てる。笑

中尾会長:よんさんたちにとっては遊び場なんだよね。助けることがね。楽しく、笑い合いながらね。

よんさん:仕事だったらしょうがないけど趣味だからさ。その趣味を誰とやりたい? って言われた時に、俺らのことに否定的な人とは絶対やりたくないでしょ。仲良くなれた人とやりたいじゃん。友達だったら助けるべ。そういう感じ。

そのような話を聞くと、気持ちよく助けてもらうことができるのも受援力の高さになるのだと感じました。それに、遊び場って言われてるのに自治会長の「フフフ」って感じ。そこからも、本当に良い関係なんだなぁって伝わってきました。

逆に、どんなところだと支援に入りにくいのかを聞いたところ、

「町の防災士とか、こーじゃね、あーじゃねってしゃしゃり出てくる奴がいるところ」

いやー、ドキッとしました。だって、この話を聞いてなかったら、ボクはそうなってた気がするもん。今それが聞けてマジで良かった。

因みに、うまく支援を受けることができない町会・自治会とは、こんなやり取りになるそうです。

よんさん:ボランティアを拒否する自治会なんかは、それで問題が起きたらどうするの? とかってことを考える訳ですよ。責任は誰が取るんだ? とか。そんなの起きてから考えろって。今はそういうフェーズじゃねぇんだよって。1個の組織で考えたときに、めちゃくちゃスキルがあって、知識があって、何でもできるって組織より、大声で「助けてくれ!」って言えるところの方が強いと思うよ。

「今はそのフェーズじゃない」

なるほどと思いました。

コロナが流行し始めて、対策方法を国会で議論しているときに「エビデンスはあるんですか?」と聞いた議員を思い出しました。

さまざまな不安を抱えるタイミングなので、難しいジャッジになるとは思います。そんな時だからこそ、一番優先しないといけないことは何か? を理解して、自治会や町会などはどんどん決断していくという責任があるのだということにも気付かされました。

まとめ

災害が起きた時「助けて欲しい」と発信することはとても大切ということを学びました。町会や自治会では、それができるように、普段からSNSなど発信するツールを持っておくと良いのだろうと思います。

そして、誰かが助けに来てくれたなら、とにかく甘える。素直に甘える。強がらないで甘える。それが1番大事。

でも、ここで1つ不安になる事がありますよね。

それは「助けに来たよ」って団体が本当に助けに来ているのか? 本当は悪い奴らなんじゃないか? そういう不安。

よんさんは「ネクタイ締めてきたら怪しいと思え」と言ってました。確かにそうかも。笑

でも、それより精度の高いジャッジの仕方は、自治会長の後にお話しを伺った幼稚園の先生方から教えてもらいました。

でも長くなったので、それはまた別のお話し。


双葉に支援に入った主な団体をご紹介

一般社団法人四番隊:https://4bt.jimdofree.com/

認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズ:https://www.npocommons.org/diversity.html

認定NPO法人 ADRA Japan(アドラジャパン):https://www.adrajpn.org/

一般社団法人OPEN JAPAN:https://openjapan.net/

一般社団法人日本カーシェアリング協会:https://www.japan-csa.org/

斎藤啓之

執筆者:斎藤啓之

1980年生まれ
両親の出逢いはテニスコート。男3人兄弟の長男で、3世代で暮らし、友だちから「サザエさんのウチみたい」だと言われるような家庭で育つ。
料理は全く出来ないが調理師免許を持っており、味噌が変わると判る味覚をもつ。
剣道の有段者なので、棒で人を叩くと逮捕される。
趣味は、高3の秋から始めた野球。甲子園を目指したことの無い野球人。
ほとんどの人にA型?と聞かれるO型。

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