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2023.07.18 支援物資で避難所にTENGAを届けた人の話~性と災害と不謹慎について考える~

ある日の朝。ハレンチな影を目撃しました。

やれやれ。影ってのは、陽の当たり方で思いもよらぬ形を映し出すことがありますよね。困ったもんだ、、、

いったい、何がこんなハレンチな影を生み出してるんだ・・・

コレでした。

まんまやん。

歴史と文化の散歩道にハレンチの大王が仁王立ち。まぁ、考えようによっては歴史と文化の根源ではあるか、、、

さてと。

災害の備えとして、非常食を備えたり、避難する場所を考える人は多いと思います。つまりこれは、三大欲求の「食欲」「睡眠欲」について備えていることになりますが、残りの欲求「性欲」の備えについて考えているという話は、あまり聞いたことがありません。

「そんな時に、性欲なんて考えていられる状況じゃないでしょ!?」

という意見は当然あるでしょう。

ですが、性欲をずーっと満たさないままでいられるのでしょうか? 避難先の生活が何年も続く可能性だってあるんです。それに、被災をしたら、性欲は我慢することが当たり前なのでしょうか?

今回のテーマは、冒頭の話をムリやり展開させて、避難所にTENGAを物資として届けた人のインタビューなどを交えつつ、「災害」と「性欲」について考えていきます。

目次

  1. TENGAを物資として届けた漢の話
  2. 届けたら怒られた
  3. 性的虐待の実態
  4. 不謹慎の壁をどう取り払うか?
  5. まとめ

TENGAを物資として届けた漢の話

インタビューをお願いしたのは、伊藤純さん。通称「よんさん」です。

よんさんはサラリーマンの傍ら、趣味で毎週末、被災した家屋の復旧を行っている方です。

趣味というのが面白い感覚だったので、その活動については別の記事でまとめてみます。

さて、そんな被災家屋復旧が趣味のよんさんが、なぜTENGAを届けたのでしょうか?インタビューしてみました。

― TENGAを物資として届けた話を教えてください。

『東日本大震災から3年経った2014年、テレビで性的虐待がたくさんあるって話を聞いたんすよ。女の人は被害に遭っても泣き寝入りしてるって』

『その時、ボランティア先で仲良くなった福島の仮設住宅団地の人に聞いてみたら「誰かの知り合いがそんなことを言ってたなぁ・・・」って、、、不確かな情報なんすけど、ありそうだと』

『それなら、物資としてTENGAでも配ったらどう?って聞いたら、避難所の人は「すげーいいね」って。「おっしゃ、じゃ、話通しておくから任せろ」って事になって、持っていくことになったんす』

届けたら怒られた

― でも、実際には渡せなかったんですよね?

『支援物資として、TENGAを15万円くらい購入して』(笑)

『持ってったら、受付に50代くらいの女性が3人くらいいて、その人たちに支援物資持ってきましたーって』

― TENGAを何て言って渡したんですか?

『男性用の生理用品ですって』(笑)

『そしたら「バカにしてんのか!!」って怒るから、
「○○さんと話して、話し通ってんすよ」って言ったんす。でも、犯罪を助長するものは受け入れられないって言うんすよ』

― 犯罪を助長する・・・?

『だから、「逆っすよ、男は一発抜けば落ち着くの。賢者タイムってのがあって・・・」って説明したんすけど、受け取って貰えなかったです』

賢者タイムの話をして、受け取って貰えるとはさすがに思えませんが、、、(笑)

ただ、「犯罪を助長する物」という判断はどうも釈然としません。多分、よんさんが伝えたいことは、受付の女性たちには全く理解できなかったのだと思います。

性的虐待の実態

では、実際に避難所で性的虐待が起きているのか? それは、「東日本大震災女性支援ネットワーク」の調査で明らかになっています。(現在は団体が変わり「減災と男女共同参画 研修推進センター」)

阪神淡路大震災のときから性的暴力やDVなどはあったそうで、なんと、性暴力は顔見知りの間でも起きることがあったそうです。怖すぎますよね。

そのような事が起こらないようにする為に、もちろん避難所では女性のプライベートスペースを確保したり、トイレなどの環境を変えたり、ハード面での対応が求められてきています。

では、ソフト面での対応方法はというと、カウンセリングという手段になるそうで、、、効果はどれくらいあるのでしょうか? そもそも、事が起きてからのカウンセリングじゃ遅いんですケド・・・

TENGAなどで性欲を1人で処理してもらうという手段は、避難所の女性たちが言うように本当に犯罪を助長するのでしょうか? 性犯罪を減らすことへの効果は期待できないのでしょうか?

不謹慎の壁をどう取り払うか?

東日本大震災が発生した当初、東北から離れた場所に住んでいても、「楽しそうにしてはいけない」、「被災者の事を思わないといけない」そんな空気があったように思います。

テレビからバラエティー番組が消えた理由の一部にも「不謹慎」という壁が立ちはだかっていたようにも感じます。

『自衛隊が物陰で赤飯を食べていても「何がめでてーんだ」って怒られる』という話もよんさんがしていました。もちろん、赤飯を食べるのはめでたいからではなく、栄養価の高い物を効率よく体に取り込むためだそうです。

性欲の処理を大っぴらにしろということではなく、誰にも迷惑をかけずに済ます行為は果たして不謹慎なのでしょうか? これが不謹慎だとしたら、世の中にいる人は不謹慎な人だらけです。

そう考え出すと、不謹慎という言葉が頭の中でぐるぐる回り始めて、よくわからなくなってきてしまいました。ボクらが簡単に言葉にする「不謹慎」って、ひょっとすると個人の思い込みなのかもしれません。

まとめ

食欲を満たそうとしても、睡眠欲を満たそうとしても不謹慎とは言われないのに、性欲を満たそうとすると不謹慎と言われる。

「臭いものには蓋をしろ」と昔から言われる通り、日本人には蓋をして考えることをやめ、遠ざけてしまう一面があると思います。ジャニーズの性加害問題も長い間、蓋をされ続けてきた問題のひとつかもしれません。

「性欲=臭いもの」として蓋をしてしまうことで、どこかで誰かが泣いているのであれば、そろそろ蓋を開けて、臭くならない方法を探し始めても良いかと思います。

その蓋をTENGAでこじ開けようとしたよんさんの行動を、一度受け入れ、思索する必要は十分にあるのではないでしょうか? そうすることで、きっと新しいソリューションが生み出されて、これから先、救われる人は絶対いると思うんです。

TENGAに限って言えば、子どもたちの目に触れさせて良いのか? そんな議論も生まれる気がします。もちろん配慮は必要かと思いますが、それもやっぱり、臭いものには蓋をする考えが根底にあるような気もします、、、隠したって、いつか子どもは知るわけですから。だって、親から教わった人なんていませんよね?

「不謹慎は、本当に不謹慎なのか?」

簡単に不謹慎といってしまう先に、悲しい思いをされている人がいないのか、ちゃんと考えられる世の中を作っていきたいですね。

斎藤啓之

執筆者:斎藤啓之

1980年生まれ
両親の出逢いはテニスコート。男3人兄弟の長男で、3世代で暮らし、友だちから「サザエさんのウチみたい」だと言われるような家庭で育つ。
料理は全く出来ないが調理師免許を持っており、味噌が変わると判る味覚をもつ。
剣道の有段者なので、棒で人を叩くと逮捕される。
趣味は、高3の秋から始めた野球。甲子園を目指したことの無い野球人。
ほとんどの人にA型?と聞かれるO型。

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