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2023.09.14 「災害支援は暇つぶし」|災害支援団体『四番隊』代表理事よんさんにインタビュー 前編

ミライボのさいとうです。

ここ数年、風水害が日本の至るところで発生しています。災害が起きるとボランティア活動を行う人がたくさんいらっしゃいますが、今日は、一般社団法人でボランティア活動をしている四番隊の代表理事、伊藤純(通称:よんさん)に災害支援について伺いました。

よんさんは、建築関係トントントンの会社で安全管理を行っているそうです。そんなよんさんを代表理事とする四番隊は、どのような活動をしているのか、災害ボランティアの現状などを聞いてきました。

パチンコ負けてやること無ければ四番隊

― それでは最初に、四番隊の活動について教えてください。

よん:う~ん、、、基本的に、、、美味しい物を食べる。っすかね。災害支援はメインなんすけど、、、あんまり誤解を受けたく無いんすけど「被災者のために」とか「困っている人を助けたい」とか高尚な気持ちは全くなくて、単に趣味でやってるだけなんす。

― 趣味なんですね?(笑)

やる事なくて、暇だったらウチ来れば?? って感じのノリなもんで。例えば、金曜とか土曜にパチンコで負けて、「やべー日曜日何しよう? 」ってなったらウチ来れば? って言ってる。ホント暇つぶしですよ。だから、良いことしてる人たちって目で見られるとホント困るんす。

― 良いことしてるイメージで見られると、何で困るんですか??

よん:そういう人でいないといけない。ってことです。人のイメージに合わせて生きている訳じゃねぇんだよと。

例えば、俺がベンツに乗って被災地支援に行きました。すると「ベンツなんかで・・・」って、被災地に行きもしない奴らが言うんすよ。ベンツでも何ででも、行って何かをやった方がいいんすよ。行ってる奴らの足を引っ張るなと。

― 勝手に良い人というイメージの型にはめ込んで、それからズレると文句を言ってくる人たちが、いっぱいいたってことですね?

よん:そんな目をメンバーに向けられると嫌なので。それなら、最初っからあなたが思っているような団体じゃないですよと。ウチらは美味しい物を食べに行って、そのついでに作業してる。災害支援がメインじゃねーよ! と。そういうスタンスをとってます。

だから、LINEグループのアルバムには必ず食った物の写真載せてるんすよ。ほぼ食い物しか載ってない時もあります(笑)

― 確かに、写真の一覧をみると、たくさんの美味しそうな写真が・・・四番隊は、多くの人がイメージする災害支援団体とは写真からしてちょっと違うようです。

趣味であることの意義

― 活動は土日とかですか?

よん:そう。大体毎週っすね。しばらく休んだことねーもんな。休みたいんすけどね。でも、やらなきゃいけない! みたいなの使命感はないですね。

例えば、月曜日にすごい大事な仕事があると、そっちがメイン。そっちが生活の基盤じゃないですか。支援は二の次なんですよ、趣味だから。仕事を大事にしなきゃいけない。ボランティアで誰も俺の生活費くれないんすよ。それをはき違えると大変なことになるんです。

― どう大変になるんですか?

よん:今まで10年くらいやってるんですけど、かなりの数、はき違えてる子を見てきてるんすよ。無職でボランティアきて、一生懸命やってます! と。無職なのによく金あんなー? って思ってると、2か月目あたりに急に音信不通になって、電話してもこの電話は使われてません、、、とかになるんすよ。結局生活費なくてパンクしてるんすよね。

そういう奴らってボランティア依存症みたいになっちゃって、、、つまり病気なんすよ。例えばこれがアルコール依存症とか薬物依存症とかだったら、みんな「やめたら」って言うんすよ。でも、ボランティアって良いことだと思っちゃってるんで、それを止める人っていねーんすよ。だから、生活が破綻しても、借金とかしまくりながらやってて、、、結局無職だから借金返せないじゃないっすか。それでショートしちゃってフェードアウトしちゃう。ってのが、かなりの数いました。

― 長く続けるには、使命じゃなくて、趣味ってマインドが大切ってことですか?

よん:すげー大事だと思う。

酔っ払いとは話すけど、被災者とは話さない

よん:結構前に、災害復興ボランティアで酔っ払いに絡まれた時があって、「何でボランティアやってんの?」って。『いや~、ノリで~』みたいに答えたら「おめーらみてーなそういう考えはダメだ! もっと信念もってやれ!」って言われたんすよ。じゃあ君は何やってんの? って聞いたら、「俺はな、ブラフマンの曲を聴いて、常に被災地のことを思ってる。まだ現場には行ったことはねーけど、常に思ってるんだ」だって。うわぁ、めんどくせーって(笑)

― 確かにその絡みはめんどくさいですね(笑)

よん:みんな勘違いしているかもしれないんすけど、ウチは、、、少なくとも俺は、被災者さんと話をしたり、コミュニケーションを取ったり、敢えてしないようにしているんすよ。

― それは何でですか?

よん:あの、、、被災者さんがこっちに依存しちゃうんすよ。例えばなんすけど、誰も家に来ない寂しい独居の老人がいるとするじゃないですか。そういう人が被災してしまうと、毎日いろんな人が来てくれて、かまってくれるから嬉しいんすよ。

1週間そこの作業に入ってたとするでしょ? すると、1週間はそこは賑やかなんすよ。ただそれが終わりましたよってなった時に、急にその人は寂しいって思うようになってしまう。今まではそれが日常だったのに・・・

なんで、なるべく被災する前の状況と変わらない生活をさせてやりたいんす。

― そうしたら、被災者がどう困っているか? って、どう確認するんですか?

よん:その人がどういう状態で、何に困ってるって情報は、なるべく社協(社会福祉協議会)とか、コーディネーターを通すようにして、ウチの名刺を出すことしないです。名刺を出しちゃうと、作業終わった後に、その人が何かに困るとウチに電話かけてきちゃう。でも、ウチは他の現場に行ってるからソコに行けないんすよ。最後まで責任持てない。なんで、ウチらは社協から依頼されているだけだから、全部社協さんに言ってね。って言うようにしてます。

社会福祉協議会や行政の実態

― そもそもボランティアって、どのような手順で活動場所が決まるんですか?

よん:それは、俺らがですか? 一般の方がですか?

― え? そこも違うんですか?? えっと、よんさんたちの団体の方です。

よん:団体の方は、「よっしゃー、ソコ行くかーーー!!!」です。

― えぇ!? じゃ、じゃあ、ソコ行くかー! のソコってどうやって決めるんですか?

よん:テレビを見て、ノリ。

― えぇーーー!!! で、でも社協を通すんですよね!?

よん:そこは通さないです。社協は発災してから1週間とか2週間経ってから通すような感じです。何でかっていうと、社協は今、県外の人は受け入れない。とにかくあの、、、堅いんすよ。

知ってます? 社協の人って、災害、全くの専門外なんすよ。社会福祉協議会の職員さんって、災害支援をしたくて入った人なんていないんすよ。老人介護とかがメインなんです。災害は全然関係ねーんす。

― 弱者救済の組織ってことですか?

よん:うんうんうん。そうそうそう。

― 災害で弱者になっちゃったから、イレギュラーで対応しているってことですか?

よん:そう。例えばパン屋が、「お前粉もん扱ってるんだから、他のモンも作れるベ?」って。だから和菓子作れよ、とか言われても「え? どうやればいいですか?」みたいな感じでしょ? 社協の人たちも災害は全くわかんない。

何なら社協の人たちも被災者なんすよ。なのに、市とか県とかから「県内のボランティアだけで何とかしなさい」って言われてっからそれを真に受けてしまって、、、

― 指示どおりにしかできない・・・

俺らみたいなボランティア法人だったり、技術系ボランティアが手伝うよ! って言っても、社協に「あ、いいです」って断られるんすよ。聞く耳持たないんすよね。持たないし、持てない。だから災害直後に社協を通して入るってのは、ほぼほぼ不可能。

― じゃあ、とにかく現地に行って、困っている人を見つけて??

よん:区長さんとか、町内会長さんとかを見つけて、とにかくそういう人に話をしにいきます。

― そうなんですね。全然イメージと違う。。。

よん:災害ボランティアセンターなんてすぐには立ち上がんないっすから。それに、災害ボランティアセンターに行ったところで、ってのもあるんす。

例えば、重機を動かせる人が災害ボランティアセンター行くと、スコップ渡されて掘ってくださいって言われるんすよ。

― えぇーーー!!!

よん:「重機持って来てるし、動かせるよ」って言っても、「いや、決まってるんで」って。あなたは家具についた泥を拭いてくださいって。

「いやいやいや、違うでしょ!」 って。

― そういうやり取りが過去にずっとあったんですね?

よん:ずっとあった。だから、今俺らがやってるのは、平時の内にいろんな社協と仲良くなって「ウチはこういう団体ですよ、何かあったら手伝いますよ」って言って回ってる。

有事の時はその人たちもパニックになってしまうんです。俺らが入れないっていうのが、被災者にとっては一番気の毒だから。

社協とのネットワークを作れるように、言い方変なんだけど社協に営業して歩いてる。パートナーシップ協定結んだりとか、まだそんなに多くはないすけど。

― そうしておかないと、融通が利かないんですね?

よん:うん。ガチで社協とは何度喧嘩になったことか・・・


お話を聞けば聞くほど、まじめに活動してるのが漏れ出しちゃってますね。

行政を変えようとするのではなく、どうしたら行政に受け入れらるのか? という視点は、行政との付き合い方のお手本のようで、勉強にしかなりませんでした。

今はすぐにはダメでも、これから先に起こる災害に向けて環境を整える。どこが食事メインの趣味やねん!! ウソばっかりじゃん。マジですげーな。

後編では、よんさんがボランティアを始めたキッカケや、四番隊の存在意義などについてまとめてみたいと思います。

斎藤啓之

執筆者:斎藤啓之

1980年生まれ
両親の出逢いはテニスコート。男3人兄弟の長男で、3世代で暮らし、友だちから「サザエさんのウチみたい」だと言われるような家庭で育つ。
料理は全く出来ないが調理師免許を持っており、味噌が変わると判る味覚をもつ。
剣道の有段者なので、棒で人を叩くと逮捕される。
趣味は、高3の秋から始めた野球。甲子園を目指したことの無い野球人。
ほとんどの人にA型?と聞かれるO型。

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