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2023.09.28 「ボランティアの間口を広げたい」|災害支援団体『四番隊』代表理事よんさんにインタビュー 後編

ミライボのさいとうです。災害支援の実態について、インタビューをしています。

インタビューを快く引き受けて下さったのは、一般社団法人四番隊の代表理事を務めている伊藤さん。通称よんさんです。

前回、支援団体の目的は美味しい物を食べること。ボランティア依存症のこと。社会福祉協議会のことなどを教えていただきました。(インタビュー前編はコチラ

後編は、ボランティアを始めたキッカケや、四番隊の存在意義などをお届けします。

ボランティアを始めたキッカケ

― ボランティアを始めたキッカケを教えてください

よん:始めたキッカケは、それこそ東日本大震災。その前までは全く興味なくて、せいぜい阪神淡路大震災の時にコンビニで小銭をちょこっと募金箱に入れたくらいっすかね。その時は別の世界の事だと思ってるから。

当時まだ岩手に住んでたし、テレビの向こうの話で、映画観てるような感覚なんじゃないすか。俺にかんけーねーし!みたいな。

― やっぱり、東日本大震災で岩手が被災したってのが大きかったんですか?

よん:うん。デカいっすね。

― 何でボランティアに行こうと思ったんですか?

よん:よく見てた景色が津波に飲まれていくのをニュースで見るわけですよ。当時、宮古市の映像が流れてたんすけど、俺、すげーよく行ってたんすよ。

映像見ながら「ココんちの美容室の母ちゃんどうしたべ?」とか「ココんちのラーメン屋の親父どうなったべ?」って。

そん時、家でたまたま一緒にテレビを見てた友達4人で「災害ボランティアみたいの行ってみっか!?」みたいになって、スコップと長靴を持って、軽自動車で東北に向かったんすよ。

― 装備はスコップと長靴だけなんですね?

よん:コレ有ればいいだろーって軽いノリで。ところが東北に全然着かないんすよ。

― その時はどこに行ったんですか?

よん:多分ね、ひたちなかとか、大洗あたり。よく聞かれるんすけど、わかんないんす。途中、「マジでどうする?ガソリン入れるとこねーぞ。帰ってこれっか?」って。それこそ信号とか止まってっから、道の混み方がとんでもないんすよね。

ホントは岩手行く予定だったのが、どうしようもなくなって、「まぁ、いいじゃん。ここらへんでやっぺ」って。「適当に行けば何かあんじゃねーの?」みたいな感じで海の方行ったんすよ。

やっぱ観光気分でテンション上がってて、「俺らがボランティアとかスゲーな」とか言ってるんすけど、ある線から、、、こっからはこっちの世界。こっからはあっちの世界って分かれたとこがあったんすよ。それがちょうど津波がきたとこで、、、

そこに入った瞬間になんか「うわっ・・・」ってなっちゃったんす。コレは俺ら間違えたな、、、ちょっと思ってたより重大だぞ。って。

― それで、その時はどうしたんですか?

よん:スコップ1本でどうこうなる状況じゃないんすよね。重機がガンガン動いてて、、、「いやー、これは俺ら行っても役に立たんわ」って。結局そのまま帰ってきたんす。それが最初っすかね。何もできなかったっす。

― 何もできなかったことに対しては、どんな感情が生まれましたか?

よん:あん時、どう思ったんだろうなぁ? とりあえずスグに準備整えてまた行ったんすけどね。まぁ、準備整えてって言っても、ドコに行ったらいいとか知らないで行ったんすよ。ボランティアセンターとかそういうのも知らないし。

行けば困ってる人がいて、都合よく「あ、じゃあやってあげますよ~」みたいな感じでやろうかなと思ってたんだけど、、、そういう手順もなんも知らなかった。

その後からね、いろいろ調べて「あぁ、こういう手順踏むんだなー」って。ボランティアセンターに行くってこともボランティアしながら覚えましたね。

四番隊を設立した理由は?

― どうしてボランティア団体を立ち上げたんですか?

よん:最初は他のボランティア団体に入って作業をしていたけど、安全管理も何もしてなくて、これはヤベーと感じたんす。参加した人がケガをしたら困るから、ケガしないような団体を自分たちで作るかと。

― ネーミングの由来は?

よん:所説はいろいろあるんすけど、ダーツの世界で俺が「ワタナ・ペ・ヨンジュン」って名前でちょっと有名になって、ヨンさんと言われるようになってたんす。そこから、団体の名前は4班とかでいいんじゃね? 的なノリで。で、少しかっこよく四番隊と。

― 1から3までもあるのかと思ってました(笑)そもそも、ボランティアグループって、どうやって立ち上げるんですか?

よん:その時にいたメンバーで、やる??って。ノリですよ。千葉の台風15号がきっかけでグループ化しましたね。

千葉県を襲った台風15号で言われた園児の言葉

― 未だに千葉で屋根の修理はしているんですか?

よん:千葉の方はひと段落して、最近は静岡に行ってますね。でも、鋸南町の幼稚園にクリスマスプレゼントを届けてます。

― サンタクロース的な活動もしてるんですね?

よん:前にプレゼントを渡しに行って園児と遊んでる時、たまたま幼稚園の裏のお宅に屋根の修理屋さんが来ていて、それを見た子が「大工さんはヒーローなんだよ」って教えてくれたんす。

鋸南町は約7割の家が台風の被害にあってるから、もちろん園児たちも被災してるんすよ。その子はボランティアと大工の違いはわかんないと思うけど、俺らをヒーローだと思ってくれてるのかと思って、くすぐったい気持ちになったんすよ。

でもその子が、「僕の家にはいつ来てくれるのかな?」って、、、

言葉に詰まりましたね・・・

その子は被災者で、今も屋根の壊れた家で不安と闘いながら生活してるんだと知ったんすよ。だからその時、俺は鋸南町が復興するまでずっと鋸南町で活動すると決めたんす。その子の名前も住所も知らないっすけど、全ての家が直れば、その子の家も直ってるだろうと思って。

(いつもはおちゃらけるよんさんが、この話の時はとても真剣なのが印象的でした)

四番隊の存在意義

― これからボランティアを始めてみたいと思っている人に、身に付けておくといいスキルとか知識があれば教えてください。

よん:行こうと思う決断力と行動力だけっすね。

ただ、ボランティア組織を作る側の人間として言うと、マニュアルとかはすげー作ってる。

― 四番隊には、どんなこだわりがあるんですか?

よん:知識には自信をもってますよ。資格とかいろいろ持ってて、建設業の技能講師とかやってるんすよ。つまりプロに教えてるってことっす。あと、俺、資格も発行できます。

それと、安全に関してはちゃんと資格とって勉強してるんす。子どもたちも参加するし。活動する上で、活動する人の安全が一番大事っすから。誰一人ケガをさせず、安全に家に送り届けることが組織の長の責任なんで。危険を伴う作業があるんで、安全管理の能力は必要ですね。

すごいたくさんの資格証を見せてもらいました

― 子どもたちも参加できるって、凄いですね。なんで子どもたちにも作業を教えるんですか?

よん:ボランティアの間口を広げたいんすよ。敷居も下げたい。フラっと「ボランティア行こうかな?」って人を受け入れられるような団体にしたいんすよ。それが四番隊の存在意義だと思ってます。

― めっちゃカッコいいですね。 その為の費用もたくさんかかってるでしょうし、さすがに趣味の度合いを越えてると思うんですけど・・・

よん:いや~、趣味っすよ。例えば、ゴルフ好きな人がいて、その人がクラブを何本買おうが「好きですね~」って言うでしょ!? でも、俺がボランティアにお金を使うと、「偉いですね~」って言われる。違うんだって。それは「好きですね~」でいいの。

― その感覚、わからなくはないですけど、偉いですね~って言っちゃいます(笑)

四番隊が取材を積極的に受けている理由

こんな現場で作業をすることも・・・

― ところで、どうして取材を受けてくださったんですか?

よん:四番隊は積極的に取材を受けてるんです。例えば、知らない土地に行って腹が減ったってなったとき、マックと自営のパン屋があったら、知らない店よりマックの方が安心でしょ?

「四番隊が来てくれた!!」って喜んでもらえるように、社協やボランティアセンターの人たちに名前を知ってもらいたいんす。

― このメディアがその役に立てる気はまったくしないですね・・・(笑)

よん:それと、スポンサー企業を探してるんす。いくらでもいいから、支援してくれると。10万円あると3回現場にいけますから。それと、車が欲しいっす。ノアとかヴォクシーがいいっす(笑)。なんならハイエース(笑)。古くてもいいんで。5年くらい乗れるといいっすよね。

― 活動に参加したいときはどうしたら良いですか?

よん:四番隊や俺のSNSにメッセージくれればOKっす。

まとめ

「災害支援は趣味」と言い切るよんさんのお話しを伺いましたが、それはそれは、ガチの趣味でした。

一般社団法人化する前は、毎年300万円くらい自腹で活動していたそうです。「す、す、好きですね~」なんて、すんなり言えるか~!! 逆に趣味に年間300万円ってのもスゲーな。

よんさん曰く、社会人になると、仕事以外の人とのネットワークが希薄になっちゃう。同じ趣味の人が集まって、うまいモノを食べて、楽しかったねって言って帰る。そういうのが楽しいから続いてるんだって。だとしても300万円はスゲーな!!(しつこい)

「楽しそうだから、今度災害支援いってみようかな?」

なんて言うと、きっと「不謹慎だ!」なんて言われる世の中ですが、かのマンガ、鋼の錬金術師でアルフォンス・エルリックはこう言っています。

『やらない善よりやる偽善だ!』

よんさんがノリで始めた災害支援。偽善とは言いませんが、楽しんで活動しようが、楽しまなかろうが、助かっている人がいるのは事実です。反対に、楽しくなくて活動が続いてなかったら、助けられなかった被災者がたくさんいたとも考えられます。

楽しくボランティアすることが、長く続く秘訣。長く続けば、質も上がる。楽しいという土台は、どの活動においてもとても大切だと感じました。

ちなみに、四番隊さんは先日行われた『ぼうさいこくたい2023』や『TOKYOもしもFES渋谷2023』にも出店していたり、子どもたちによる「キッズ防災プロジェクト」など、活動は多岐に渡っています。

その、子どもたちによる活動「キッズ防災プロジェクト」については、ちばのWA地域づくり基金さんがレポートをしています。良かったら、そちらも読んでみてください。→【助成レポート】キッズ防災プロジェクト(小学生を対象とした防災教育事業)|ちばのWA地域づくり基金

そのうち、ボクも実際に災害支援に参加して、実態をレポートしてみたいなぁ。

「四番隊でボランティアしてみたい!」って方は、四番隊のTwitter(現X)をフォローして、DM送ってみてくださいねー。

一般社団法人四番隊 Twitter:@wataj

それと、ヴォクシーやハイエースなど荷物が詰める車の売却を考えている方は、変な中古車屋に下取りに出すのではなくて、四番隊にお声がけ頂ければ世の中の役に立つかもしれません(笑)

斎藤啓之

執筆者:斎藤啓之

1980年生まれ
両親の出逢いはテニスコート。男3人兄弟の長男で、3世代で暮らし、友だちから「サザエさんのウチみたい」だと言われるような家庭で育つ。
料理は全く出来ないが調理師免許を持っており、味噌が変わると判る味覚をもつ。
剣道の有段者なので、棒で人を叩くと逮捕される。
趣味は、高3の秋から始めた野球。甲子園を目指したことの無い野球人。
ほとんどの人にA型?と聞かれるO型。

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