大きな災害が発生すると、公立の小学校や中学校が避難所になりますよね?
では、その避難所の開設準備や運営は誰が行うのかご存知ですか? 実はコレ、災害の種類によって変わるんです。
- 台風や水害など→地方自治体の職員
- 地震→地域住民
予測できる災害は地方自治体が行いますが、地震のような突発的かつ広範囲に被害が及ぶ災害のときは、自治体の職員だけでは人手が足りないことが明らかなので、地域住民がその代わり担うことになっています。
大変だけど、これは仕方がない。
避難所を円滑に運営するためには、事前に避難所ごとにルールを決めておきたいところです。皆さんも、無法地帯で知らない人と共同生活なんてしたくありませんよね? で、そのルールを作成する組織を目黒区では「避難所運営協議会」(以下、協議会)と呼んでいます。(こういう呼び名って、全国で統一されて無いっぽいんです。ナゼなんだろう!?)
「防災のリアル」では、その協議会での活動を通してわかった防災のリアルな現状を忖度なく書いています。
今回は、学校にある防災倉庫を整理しようとしたら、縦割り行政の弊害で、防災倉庫が酷いことになっていたお話しです。
▼目次
防災倉庫を整理しよう!!
協議会でルール作りをすすめる中で、地域住民が学校に避難してきたときに対応しやすいよう「防災倉庫を整理しよう!」という実践的な意見が生まれたので、まずは少人数で学校の防災倉庫を見に行きました。

防災倉庫に収容されている防災用品は防災課がリストにしてくれているので、事前に何となく理解できています。
これを、利用するシーンに分けて整理しよう! というのが今回の最終目標。
シーンは以下のように仕分けしていく予定です。
- 避難所に避難してきた地域住民を校庭に待機させるまで(校舎や体育館に甚大な被害があるかもしれないので、建物の中にはすぐに入れないのです・・・)
- 校舎・体育館の損害状況の確認が終わり、校舎内に案内するための準備が整うまで
- 校舎内に誘導し、受付が完了するまで
- 校舎内での生活が始まり、集団生活が落ち着くまで
分け方はこんな感じ。
ということで、目黒区の防災課の職員さんを引き連れて、防災倉庫の整理整頓スタートぅ!!
・・・
・・・
・・・
▼(正面)

▼(右側)

▼(左側)

思ってたんとちがーう!!!
な、なに、正面の木の板!?
パイプ椅子ジャマー!!
棚に収まっていない段ボールが山ほどある~。
事前に貰っていたリストと全然ちがうやん。防災課の職員さんもお口あんぐりしとるやん。
防災倉庫は想像以上に整理されておらず、何がどこにあるのかさっぱりわからない状態でした。
「この状態で地震がきたら、必要な物資を見つけるだけでどれだけの時間がかかるのだろうか・・・」
そう考えると怖すぎ。
所有者不明の物が出てくる出てくる…
想像していたよりひどい状態の防災倉庫。
真ん中にデーンと置いてある木の板に関しては、防災課の職員さんも「これは何ですかね??」と言っている。
防災課さんも把握してない物が置いてあるなんて、今度はこちらがお口あんぐりである。
左側には、運動会で使用する入場門や、体育館で使用するであろうパイプ椅子が置かれている状況から、学校で普段利用している物がいろいろと詰め込まれちゃってるんだと推測し、学校関係者に来てもらったところ、
「この木の板、防災課さんのじゃないんですか!?」
ときた。まさかの所有者不明・・・
どこの所有物か分からないものが、防災倉庫の中央に鎮座していたらしい。むしろ、誰もわからないから、こんなことになっていたと言うべきなんでしょう。この状況、ホントに大丈夫なの!?
今日は整理にとりかかれないと思い知らされたので、防災課さんと学校関係者さんに所有者不明の物の持ち主確認から進めてもらうことになりました。
すると・・・

写真の棚に収まっている赤い鉄製の傘立てが、さっそく所有者不明。

その横の棚の一番に下にしまわれている緑のマットも不明。
「う~ん、、、」
唸っていたら、防災課の職員さんが、
「もしかしたら、選管(選挙管理委員会)かも・・・」
と言い出した。
確かに、選挙のときに体育館にしきつめるマットは緑だ。傘立ては雨の時のものか・・・と、少しずつ推理が進んでいく。
そして、学校と書かれている棚の一番上に目をやると、

なにやら大量の段ボールが。(写真右上)
最初は非常食品かと思っていたが、箱には洗濯ばさみと書いてある。
いやいや、洗濯ばさみってことはないでしょう。そりゃ、あったら便利かもしれないけど、さすがにこんな大量の洗濯ばさみは不要だし、防災倉庫にあるわけがない、、、
そう言いながら開けてみると、、、

まぁ、なんてカラフルな洗濯ばさみ。
こんな明るい色なら、きっと気分も上がるよね!
って何でやん。確かに箱に書いてあったとおりだけど、洗濯ばさみでむしろビックリしたわ!
試供品のようだけど、誰がもらったのかは全くの謎。
しかも絶句するほどの量。。。
学校ではメーカー名が入っている物は配れないから、学校で貰う訳がないんだそうだ。
防災倉庫は、所有者不明な物であふれていました。
まずは処分から
今日わかった主な所有者の不明な物
- 板
- 傘立て
- 緑のマット
- 洗濯ばさみ(カラフル)
- カラーコーン(パイロン)
- コーンバー(カラーコーンをつなぐ棒)
- ストーブ
- 灯油ケース
- 放水ホース(消火用とは別)
ざっとこんな感じ。
きっと、所有者不明で処分することになるんだろうけど、それぞれにの担当課にも予算もあるだろうから、捨てるだけでも時間かかりそうな気がする・・・
まとめ
この小学校のように、防災課以外の組織も防災倉庫に出入りをしていると、自然とこんな風に乱雑になってくるのは分かる気がします。
それに、地震が来れば棚からいろいろな物が落下して、何がどこにあるのかわからなくなることも、もちろんあると思います。
だけど、地震がくる前からぐちゃぐちゃなのはマズ過ぎる。
防災って、机上では完璧な気がしても、実際に行動してみるとすぐにつまづくことが多いんです。いつまでもそんな防災じゃあダメだなぁと、防災倉庫をみてつくづく感じました。
いつになったら整理に取り組めるようになるか、先が思いやられます。
整理収納アドバイザーの資格を持ってる防災士さんって結構多い気がするんだけど、こういった事を想定しているのかな・・・
ヒルナンデスでこんまりさんに学校の防災倉庫の整理特集もやってほしいものです。