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2017.04.14 熊本地震から学んだ「地震後の被災地を襲う、重大な4つの問題点」

こんにちは。未来防災課のさいとうです。

平成28年熊本地震から1年が経ちました。

私たちはあの地震から何を学び、次にどのように活かすのか? 未来防災課はそれこそが大事なことだと考えています。

その為に、当時の地震を一度振り返ってみたいと思います。

「平成28年熊本地震」はどんな地震だったのか?

死者数(熊本県・大分県)

死者数:225名(平成29年4月12日現在)

  • 建物の倒壊などによる直接死の死者数:50人
  • 車中泊の影響によるエコノミークラス症候群など災害関連死者数:170名
  • 6月の豪雨による被害のうち、地震との関連が認められた死者数:5名

避難者数(熊本県)

  • 平成28年4月17日時点:183,882名

物資の供給(内閣府主導のもの)

  • 4月17日~19日の3日間:パン、カップ麺など
  • 4月20日~22日の3日間:缶詰やレトルト食品など被災自治体からの要請に応じて、米・保存用パンなども提供
  • 4月23日~25日の3日間:被災者のニーズに応じて、おかずとなる食品や子ども・高齢者向けの食品で、保存性の高いもの
  • 4月26日以降:保存性の高い食品を中心に被災者のニーズに合わせて必要な食品を随時提供

物資の供給により現場が混乱し、様々な悪循環を引き起こしていた為、4月18日より、物資は日本通運鳥栖流通センターに集められ、パトカー先導のもと各市町村へ供給された。

余震

  • 東日本大震災の時の東京の震度が5強ほど。それより大きな地震が48時間以内に7回も(震度5弱以上の揺れは、1週間のうちに22回発生)。
日付 時刻 マグニチュード 最大震度 備考
4月14日 21:26 6.5 震度7 前震
22:07 5.8 震度6弱  
4月15日 0:03 6.4 震度6強  
4月16日 1:25 7.3 震度7 本震
1:45 5.9 震度6弱  
3:55 5.8 震度6強  
9:48 5.4 震度6弱  

※震度6弱以上の地震

熊本地震から学んだこと【其の1】
~災害関連死が直接死の3倍以上~

熊本地震では、エコノミークラス症候群などの災害関連死の死者数が、地震によって倒壊した建屋の下敷きになるといった直接死の死者数の3倍以上になりました。

そして、災害関連死の死者の内、9割以上が60歳以上の人だそうです。

生活環境が激変する事による疲労は、特に高齢者の身体に大きな影響を及ぼすのでしょう。それならば、高齢者の方々の避難場所や、避難の仕方、事前の防災の方法を変えていたら助かっていたとも考えられます。

これから来る地震に対して考えなければならないこの課題。問題点は、災害関連死の対策は誰がするか? という事です。

それは国ですか? 自治体? それとも避難所?

国や自治体を頼りたい気持ちは分かりますが、それって確実でしょうか?

自分や家族の命の事です。より確実に守りたいなら、自分自身で対策をしておいた方が良さそうです。

震災関連死の具体的なお話は、また考えてみたいと思いますが、60歳以上の人がいる家庭ではただ避難をするだけでは無く、避難した後に困る事への対策を練っておく必要が高そうです。

熊本地震から学んだこと【其の2】
~物資はなかなか提供されない~

熊本地震の被災地から、食料や水など支援物資の不足を訴える声が相次いでいる。全国各地から支援物資は向かっているが、受ける側の自治体が分配機能を十分果たせていない。
引用:東洋経済ONLINE

皆さんはこのようなニュースが地震から1週間ほど続いた事を覚えていますでしょうか。

内閣府の資料では17日からパンなどを送ったとなっていますが、物資の輸送を民間業者に委託したのは18日。供給方法が改善され始めたのは、前震から4日後の事でした。

熊本地震による避難者の数は、18万3000人ほど。実は、東京都台東区の人口とほぼ同数です。

18万人に物資を届ける事で1週間ほど混乱をしていた熊本地震を基準に考えると、首都直下や南海トラフの地震が発生した場合、物資が自分の手元に届くまでの期間はとても1週間では済みそうにありません。

1週間以上、水や食べ物に困り、同じ服を着続け、満足に眠る事も出来ない・・・。そんな状況下にいきなり置かれるのが震災だとしたら、どのような準備が必要なのでしょうか? 当然ですが、その準備は地震が来る前にしか出来ないんですよね。

「今、あなたの半径5m以内にある物だけで1週間暮らしてください!」被災をするって、つまりはこういう事なのかもしれません。

熊本地震から学んだこと【其の3】
~何度も続く、大きな余震~

大きな地震の後には余震が来る。それは、当然みなさんも分かりきっている事です。では、余震の何が怖いのでしょうか?

  • 本震は耐えた建物が、余震で崩れてくるかもしれない
  • そう考えると、なかなか荷物を取りに自宅に帰れないし、住宅密集地は歩けない
  • 片付けが出来ないから、避難所生活が長引く
  • 避難所の天井が落ちてこないとも言い切れない
  • 場所によっては、土砂崩れの心配も

もっといろいろとあるでしょうけど、地震で怖いのは、何かが落ちてくる、何かに押しつぶされる、といった被害です。

それから身を守ろうとしたら、何もない広場にいる事が一番!!

ですが、雨が降っていたらどうでしょうか? 当然、雨風はしのぎたい!けど、建物の中は怖い・・・。

熊本地震では、安全に雨風をしのげてプライベートな空間も手に入る、車内泊避難をする人が多かったようです。

熊本地震の被災地で車中泊をする避難者50人にアンケートしたところ、車中泊を続ける理由(複数回答)について、最多の19人が「屋内が怖いから」と余震への恐怖を挙げた。
引用:毎日新聞

ただ残念な事に、そのせいでエコノミークラス症候群の被害にあってしまった人も多数いました。

熊本地震から学んだこと【其の4】
~次来る地震が本震かも?~

平成28年熊本地震は、こんな経緯をたどった珍しい地震でした。

14日の震度7が発生した地震から一夜明けて、15日の夕方頃の気象庁の発表では、

今後の余震活動について、ところによって震度6弱以上の揺れとなる余震が発生する可能性は、4月15日16時から3日間で20%、震度5強以上となる可能性は40%
引用:気象庁H.P 「平成28年熊本地震」について(第6報)

この翌日16日の未明に、熊本地震最大となったマグニチュード7.3の地震が発生し再び震度7を記録。16日の地震が本震で、14日の地震が前震と報道されるようになりました。

気象庁がどうこうでは無く、それだけ地震活動は予測がつかないという事を思い知らされました。

震度7を記録した地震が、後に来る地震の前兆だとは誰が予想したでしょうか?

「本震は予測出来た」と偉そうに気象庁を批判する地震学者もいるようですが、それなら事前に俺ら一般人に教えておけってんだ。

だから、代わりに未来防災課が声を大にして言いますよー

大地震の後に、更に大きな地震が来るかも知れないと考えて行動するよーに!!

まとめ

1.災害関連死による死者数が直接死の3倍以上

地震の瞬間に死んでしまわない限り、対策のしようがあるはずです。
対策に最も必要な物は、震災後どうなるかを考えられる想像力か?

2.物資は1週間程度で届くと思わない事

熊本地震の避難者数が台東区の人口とほぼ同数。首都直下地震の避難者数を想像すると、物資は1週間程度では届かないと考える方が自然。

3.震度5弱以上の余震が、20回以上

余震が続く限り、安易に自宅から物を持ち出すことすらも出来ません。耐震のしっかりした家に住むか、家の中がぐちゃぐちゃでも荷物を取りだせるように、大事な物は玄関に置くか・・・。

4.本震はまだ来ていないかもしれない

東日本大震災のような海溝型地震では、大規模な前震がある事は分かっていたようですが、熊本地震のような内陸型の地震でも、大規模な前震がある事を今回知りました。

大地震の後には、余震が来る事も危険ですが、発生した大地震がまだ本チャンでは無い可能性も考えた避難が必要かもしれません。

大きな揺れが続く中で、いかに安全な避難生活が送るのか?

今まではそれが防災だと漠然と考えていましたが、この地震で避難の考え方が変わりました。

どのように変わったのかは、長くなるので別の記事で書きますー。

斎藤啓之

執筆者:斎藤啓之

1980年生まれ
両親の出逢いはテニスコート。男3人兄弟の長男で、3世代で暮らし、友だちから「サザエさんのウチみたい」だと言われるような家庭で育つ。
料理は全く出来ないが調理師免許を持っており、味噌が変わると判る味覚をもつ。
剣道の有段者なので、棒で人を叩くと逮捕される。
趣味は、高3の秋から始めた野球。甲子園を目指したことの無い野球人。
ほとんどの人にA型?と聞かれるO型。

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