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2016.12.15 防災士でも助からない!? 観光客が鎌倉で被災したら津波から逃げられない理由

こんにちは。地元の防災部に所属しているさいとうです。

自分で言うのも変ですが、ボクは町会の防災部に所属しているだけあって、おそらく世間一般に比べると防災に対してはかなり意識高い系だと思っています。

東京防災だって目を通してるし、スマホにも防災に関するアプリが入ってます。防災士の資格だって持ってるしね。えっへん。

そんなワタクシですが、いざ大地震に見舞われた時、何だかんだで逃げ遅れてしまうのだと自覚するに至りました。残念ながら、ただのへっぽこ防災士だったんです。

何故に防災士のさいとうは逃げ遅れるのか? 
そのメカニズムをこれから紐解いてみましょう。

鎌倉で被災しました

という妄想をしてみました。被災した時に、ボクはどう感じ、どう行動するのか? 妄想という形で実験します。

今回妄想を開始したのは、鎌倉駅西口から徒歩5分ほどにあるスターバックス御成町店!

なんてオシャンティーな建物でしょう。中もとっても素敵なので、建築好きの方は是非!!

場所はコチラ↓↓↓

このお店でコーヒータイムを楽しんでいると、急に地震に襲われるって設定です。ちなみにボクはカフェラテよりもティーラテ派なので、正しくはティータイム。

テーブルに置いてあるコーヒーカップがカタカタと揺れだし、地震かな? と思った次の瞬間、今まで体験した事のない大きな揺れがボクを襲いました。ケータイのアラームはあちらこちらでけたたましく鳴りだし、物が落ちる音、誰かの悲鳴が重なる中、建物が崩れてこないか恐怖を感じながら、体を屈めて揺れに耐える時間がずっと、ずっと続く・・・。

1、2分程揺れ続け、ようやく揺れが弱まりはじめました。きっと震度は6弱~6強。揺れが長かったのでマグニチュードもそれなりに大きいはず。

・・・という妄想。

さて、妄想の地震れが治まったので、避難を開始しましょう!!

実は、避難をするって難しい・・・

鎌倉は海が近い。だから、地震の後は津波がコワい。超コワい。。。という事で、お店の外に出てすぐさま避難を始めようと思いましたが、心の声がこう叫びます。

  • 「避難するって言ったって、ドコに避難するするんだよ」
  • 「鎌倉っていってもエリアが広いんだから、鎌倉の駅付近なら津波を心配しなくたって平気でしょ?」
  • 「避難しなくても大丈夫なんじゃないか? 周りは誰も避難してないぞ!」

避難する為に始めた妄想なのに、ボクの頭はそれを拒みます。何故でしょう?

妄想中の思考を検証

避難開始した方がいいかな?と思っている時のボクの思考はこんな感じ。

  1. ここまで津波ってくるのかな?
  2. 震源地はドコだ?
  3. 地元の人は逃げるのかな?
  4. 逃げるとしたら、ドコに逃げればいいんだろう?

とにかく現状を把握しようとしていました。

【何故、ここまで津波が来るのかどうか知りたいのか?】

  • この場所に津波が来ると分かれば全力で避難するけど、本当に津波がくるの? って思う自分がいた。
  • 鎌倉って海から近そうな気がするけど、避難しないといけないほど海から近いのかが分からない。
  • ここの標高は何メートルだっけ? そもそも安心できる標高を知らないのにも関わらず、やたら標高が気になる。
  • 津波が来ないなら必死こいて走って坂道を登らなくてもいいし、誰も避難開始してない中で自分だけ慌てる姿を周囲に晒さなくて済む。

【何故、震源地を知りたいのか?】

  • 震源地が海だと分かれば全力で避難をするけど、内陸だったら津波は発生しないと思っている。(←本当に正しい知識かどうかは検証が必要)
  • スマホを見れば情報が掴めると思い、情報収集を始めようとする自分がいる。

【何故、地元の人が逃げ出すのか知りたがるのか?】

  • 地元の人が逃げるならここは津波の危険がある場所だと分かるけど、観光客の自分には分からない。
  • 誰かが逃げ出すのを待っている。自分が避難を始める最初の人にはなれなかった。
  • 「逃げろ~」と叫んで逃げ出して、何も無かったら恥ずかしいし、周りに迷惑をかけると思ってしまう自分がいる。

【ドコに逃げればいいのか?】

  • ビルのような高い建物は無い。
  • 周りを見回すと丘のような場所があるから、取り合えず高そうなところに向かって避難を開始した方がいいかの自問自答が始まる。
  • 避難場所の看板を探している。

こんな感じでした。


後で、冷静になって考えてみると、

  • 「津波が来る」と分かってから避難したのでは間に合わないかもしれない。
  • 震災直後にスマホで震源地を調べようとしても、大震災ならきっと調べられない。
  • 鎌倉みたいな観光名所、周りの人はほとんどは観光客だから、自分と同じように土地勘の無い人が多い。

そう考えると、とにかくちんぷんかんぷんな事を冷静なふりをして考えていたなぁと思うのです。

結果、その時・その瞬間には逃げない、逃げようとしない自分がいる事が分かりました。そしてそれは、実際に被災しても同じなんじゃないかと気付かされました。

避難するとは、どういう事か?

自分のいる場所に津波が来ると分かれば絶対に避難しますが、確率が0%だったら避難するでしょうか? 確実に0%ならしないはずです。

では、いったい何%の確率だと思ったらボクは避難をするのでしょうか?

50%? 30%? 10%?

みなさんはどうでしょうか? 1%でも可能性があったら避難しますか? たとえ1%でも避難をするなら、確率的には0%とあまり変わりません。それなら、津波が来るかどうかなんて気にする事無く避難を開始するべきではないでしょうか?

実際に妄想してみて初めて理解したのですが、「避難」はほとんどの場合「しなくちゃいけないのか、しなくっても大丈夫なのか、それが解らない状態でとにかく始めなくてはいけない」んですね。避難って、それ自体がまるっきりムダになるかもしれないんです。だから、実際に避難するってスゲーめんどくさい。。。

残念なことですが、きっと3.11の時も避難がめんどくさいから「津波は来ない」という言葉で自分を納得させて亡くなった人がかなりの数いたのだと思います。

今回の妄想で分かった事 まとめ

只の妄想なんだけど、結局すぐに逃げない自分がいるというリアル。

こうして、防災について調べたり、書いたりしているのに、いざという時には何故か「逃げる理由、もしくは逃げない理由を探している自分がいる」事に気付きました。

大人になったからか、頭で考えて行動することに慣れきってしまっているせいで、考えが伴わないと行動が出来なくなってました。震災なんて、頭で想像できる域を遥かに超えているんだから、理屈が無くてもとにかく避難しなくちゃいけないんでしょうね。

3.11で多くの人が津波から助かった「釜石の奇跡」は、地震が来た直後に「津波が来るぞー」と叫び、すぐさま避難を始めた中学生達がいたことから生まれました。

児童を校舎の3階に集めていた鵜住居(うのすまい)小学校の先生も、逃げる中学生を見てココじゃダメだと我に返り、すぐさま全校で避難を開始したそうです。

その小学校はというと・・・

鵜住居小学校
(参照:群馬大学災害社会工学研究室H.P)

最初、児童たちが避難していた3階に軽自動車が突き刺さっています。

直感で避難してしている人が、思考で避難をしている人を助けた良い例だと思います。

さてさて、

いざという時、ひょっとしたらみなさんもボクと同じ思考回路に陥ってしまい、避難をする為の理由・避難しない為の理由を探してしまうかもしれません。

特に、無駄なことが嫌いな人は要注意!! スグに効率を考えてしまう人は「逃げなきゃ死ぬ」って実感するまでは逃げ出さないんじゃないでしょうか? それはきっと図星のはずです。何故なら、ボク自身がそういう人間だから。

でも、避難をする理由が見つかった時には手遅れ。3.11ではそうして亡くなった人が大勢いるんですから。私たちはちゃんと学ばなければなりません。

逃げようとしない自分がいる。
けど、それでも逃げる。

その心構えこそが防災であるように感じました。

あくまで、個人の妄想で感じた事です。信憑性があるとかどうとかって話じゃなくてすみません。

因みに、後で鎌倉市の津波ハザードマップを見たら、妄想したポイントは逃げなきゃ津波にのまれる場所でした。

鎌倉の場合、安全な場所に避難出来るまでの生死の分かれ目となる時間は、地震発生から約8分。避難するかどうかを考えている暇はなさそうです。実際の地震なら本当に死んでたかも。。。

こんな状況を打開するために、鎌倉市は鎌倉で津波から逃げる為のシミュレーション動画を作成してます。鎌倉に遊びに行く前に、是非見てほしいですね。(シミュレーション開始6:44~)

みなさんも、待ち合わせまでの待ち時間にでも、ふとした空き時間で妄想してみては如何でしょうか?

被災してるのに「待ち合わせの人が来るまではココで待って一緒に逃げよう」なんて甘い判断をしちゃうかもしれませんよ。

斎藤啓之

執筆者:斎藤啓之

1980年生まれ
両親の出逢いはテニスコート。男3人兄弟の長男で、3世代で暮らし、友だちから「サザエさんのウチみたい」だと言われるような家庭で育つ。
料理は全く出来ないが調理師免許を持っており、味噌が変わると判る味覚をもつ。
剣道の有段者なので、棒で人を叩くと逮捕される。
趣味は、高3の秋から始めた野球。甲子園を目指したことの無い野球人。
ほとんどの人にA型?と聞かれるO型。

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